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Interview

2018.3.23
= 2018年度 介護報酬改定 =

【居宅介護支援】医療との連携、生活援助… ケアマネの「真価が問われる次の3年」


「やっぱり我々ひとりひとりがどう動くかが非常に重要」
 
そう語るのは日本介護支援専門員協会の小原秀和副会長だ。審議会の委員として議論に参加した来年度の介護報酬改定について話を聞いてきた。今回はインタビューの後編。病院や主治医との積極的な連携を促すインセンティブが拡大されることと、生活援助を多く位置付けたケアプランの届け出が義務化されることに焦点を当てた。
 
ケアマネジャーは介護保険制度の要。地域包括ケアシステムの成否のカギを握っており、しばしば厳しい目が向けられるのも大きな期待の裏返しだ。「次の3年で我々の真価が改めて問われていくことになる」。悲観ばかりはしていられないが楽観もできない。今回の施策とどう向き合っていくべきなのか?(聞き手・編集 Joint編集部 青木太志)

《 小原副会長 》

  −− 居宅介護支援の基本報酬は1.1%程度のアップとなりました。
 
引き上げは評価していますし、本当にありがたいことだと思っています。もちろんこれで十分だとは考えていません。今後も国にはさらなる対応を求めていきます。
 
  −− 直近の「経営実態調査」の結果をみると、居宅の利益率はマイナスとなっています。
 
公正・中立なケアマネジメントを徹底して欲しい −− 。そうした期待に応えていくには、やはり経営の面で第3者の影響を受けないことが大切になるでしょう。ですから基本報酬の引き上げは非常に重要です。もっとも、現場の我々にもできることがありますよね。高い専門性を発揮しつつ、社会から求められる役割をしっかりと果たしたり取り組みの幅をさらに広げたりして、事業所の経営を安定させていく努力が欠かせません。本当に正しい仕事ができる環境を自らの力で作り上げていく、という意識を持つことも大切ではないでしょうか。体制を整えて特定事業所加算を算定すれば黒字は見えてきます。
 
  −− 医療との連携に関する加算が拡充されました。
 
今回は診療報酬との同時改定。医療との連携はやはり1番のポイントになりました。在宅から施設・病院へ、あるいは施設・病院から在宅へ −− 。そうしたシーンでケアマネがハブになることが期待されています。例えば「退院・退所加算」。単位数が引き上げられ、より積極的に支援に加わるよう促されました。老健などの施設との連携も認められますので、少し頑張れば算定できるところも少なくないでしょう。退院時カンファレンスに参加して質の高いサービスにつなげるなど、期待されている職能をしっかり果たしていくべきだと考えています。
 
  −− 特定事業所加算IVはハードルが高そうです。
 
そうかもしれません。特定事業所加算IからIIIのいずれかを算定していることが前提ですよね。もうワンステップ上の新しい高みの領域が我々の世界に登場した、と捉えています。
 
  −− 最高でプラス625単位の上乗せです。
 
もともと質の高いサービスを提供しているところが、退院・退所時の積極的な連携や末期がんの利用者への手厚い支援(ターミナルケアマネジメント加算)などに注力していけば、さらに高く評価されるということですよね。しっかりした体制で社会の要請に真面目に応えている事業所により大きな恩恵を与える仕組み、とも言えるでしょう。ここまでくると「取りにくい」、「ハードルが高い」というレベルの話ではありません。むしろ目指すべき方向性が示されたと解釈すべきです。このステージに到達すれば、経営的にもかなり異なる景色が見えてくるでしょう。

《 小原副会長 》

  −− よりメッセージ性の強い施策、ということでしょうか?
 
そうですね。今後はこれに力を入れて取り組んでもらいたい、という意味が込められていると思います。あとは我々ひとりひとりがどう動くか。インセンティブをうまく活用してサービスを展開しているか、ケアマネの真価が改めて問われていく3年間となるでしょう。協会としても研修会の開催、ノウハウの提供などで各加算の算定が進むようにサポートしていくつもりです。
 
  −− 生活援助を多く位置付けたケアプアンを届け出ることが義務付けられます。
 
該当する利用者がいる場合は速やかに届け出ましょう。担当するケアマネや自治体にとって新たな負担となるため、「現場の自主規制のようなことが起きてしまうのではないか」といった懸念の声も出ていますが、仕事の手間を嫌ってサービスの量を減らすなんて論外です。当たり前のことですが、自分たちの職業倫理はしっかり守っていかないといけません。
 
  −− 国は地域ケア会議などでそのプランを検証し、より良いアプローチがあれば改善を促していくこととしています。
 
はい。ここはケアマネが活躍できるところですよね。そもそも、十分なアセスメントの結果を反映させてプランを作っているわけですから、該当するものはどんどん届け出て好きなだけ検証してもらいましょう。そうすれば分かってもらえるはずです。国や自治体も生活援助の必要性を認めざるを得ないでしょう。そうした積み重ねで正当性を証明していき、利用者が必要なサービスを十分に使える環境を我々が主体的に守っていきたいと考えています。
 
  −− 生活援助の重要性が軽視されている、という指摘も出ています。
 
からだの衰えた高齢者が在宅で暮らし続けていくって、やっぱりそんなに簡単なことではないですよね。どうしても綱渡りになりますので、医療と介護の連携と同じ様に生活援助も重要ではないでしょうか。食べるものを作っておくことも、部屋の掃除をして清潔を保っていくことも、必要なものを買ってくることも欠かせません。在宅生活を継続させる機能を軽視する傾向があるとすれば悲しいですよね。今回の届け出の義務化は、ケアマネが生活援助の必要性を自ら証明できるチャンスではないでしょうか。

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