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Interview

2018.2.28
= 2018年度 介護報酬改定 =

【居宅介護支援】ケアマネ協会は管理者の資格要件の厳格化になぜ賛成したか?

 


《 介護報酬改定を議論する審議会 》

地域包括ケアシステムの構築につながる効果的なサービス、とりわけ医療との連携や自立支援・重度化防止が重視された来年度の介護報酬改定 −− 。事業者・専門職はさらなる進化を求められており、より積極的な取り組みを促す仕掛けが随所に散りばめられた。とりわけ、ケアマネジメントの質の向上という永遠の課題を抱える居宅介護支援への期待は大きい。
 
管理者の資格要件を厳しくしていく、病院や主治医との情報共有・協働を高く評価していく、生活援助を多く入れたプランを提出してもらう −− 。こうした施策をどう捉えているのか? 当事者の日本介護支援専門員協会を訪ねた。審議会の委員として議論に参加した小原秀和副会長の話を、これから2回に分けて伝えていく。最初のテーマは注目度で設定した。主任ケアマネジャーしか管理者に就けないようにする運営基準の厳格化だ。(聞き手・編集 Joint編集部 青木太志)

《 ケアマネ協会・小原副会長 》

  −− 管理者を主任ケアマネに限定することをめぐっては批判的な声も出ています。
 
そうですね。確かに慎重論も少なくなかったですが、肯定的な意見もかなり強かったと思います。審議会もそうでした。議論に関わっていた他の団体や有識者のあいだでは、主任ケアマネに限定して当然だろうという論調が最初から支配的でした。我々も内部で何度も何度も議論を重ねました。現場への影響を勘案すると、とても軽々しく判断できる話ではないと皆が感じていたんです。色々な思いが交錯するなかで、考え込んで眠れない日々を過ごすこともありました。
 
  −− 審議会の委員の多くが最初から賛成だった?
 
強く求められていたのはケアマネジメントの質の向上です。改定をめぐる議論の柱の1つでした。それをどう実現していけばいいのか? 居宅のケアマネは、キャリアが無くても研修さえ終えればすぐに開業できることになっていますよね。1年目から高い能力を持っている人もいるかもしれませんが、その職能を存分に発揮してもらうという観点からみてこのままでいいのか、という問題意識が大きかったと思います。
 
  −− 最終的には協会も賛成しましたね。
 
やはり積極的に対応していく前向きな姿勢をみせる必要がありました。公正・中立で質の高いケアマネジメント、病院や主治医、看護師との協働、ターミナル期の柔軟な支援の展開、障害福祉の相談支援専門員との連携、インフォーマルサポートの調整…。まだまだありますよね。求められていることは多岐にわたっており、我々には常に厳しい目が向けられています。地域包括ケアシステムの中核を担うことへの期待が大きい、と言うこともできるでしょう。何とかそれに応えていかなければいけません。
 
  −− 主任ケアマネを管理者にすれば応えられる?
 
まずは5年間の実務経験が不可欠になります。管理者としての責務を十分に果たすには、やはり一定の経験値を積んでいることが必要になると考えます。主任ケアマネの研修を修了していることも重要です。個別事例の検討やスーパービジョンなどは非常に大事ですし、後輩の育成や業務管理、リスクマネジメントに関するカリキュラムも含まれています。これらを学んでいる人とそうでない人のどちらが相応しいか? それはやはり前者ですよね。厚労省の調査でも裏付けられました。主任ケアマネが管理者を担っている事業所の方が、他のケアマネが相談できる時間を設けていたりOJTを行っていたりする割合が高いと報告されています。

《 ケアマネ協会・小原副会長 》

  −− でも研修を受けるのってすごく大変ですよね。
 
我々は確かに多くのことを求められています。ただここが踏ん張りどころではないでしょうか。努力して皆さんの期待に応え、社会の評価を獲得していかなければいけません。それを投げ出してしまえば、ケアマネの未来はなかなか明るくなっていかないとみています。今の我々の立場、置かれている状況はそんなに優しくない −− 。少なくとも私はそう感じています。ケアマネという専門職はまだ発展途上。自分たちの専門性や役割を広く知ってもらい、立ち位置を確固たるものにしていく段階にあります。今、しっかりと自らを律して我々の価値、存在意義を広く認めさせていきたい。そうしたことから、事業所の管理者は主任ケアマネとすることが望ましいと考えました。
 
  −− 研修の受講を申し込んでもなかなか受けられないところがある、という声もでています。
 
国には十分な対応を強く求めていきます。希望者がスムーズに受講できる環境を確実に作ってもらわないといけません。経過期間が終わる3年後に、多くの事業所が存続できないような事態となれば大問題ですから。今は一部の都道府県がローカルルールを設けています。受講要件が異なっていて、市町村の推薦が不可欠のところもあるようです。すでに協会で詳しい実態調査を始めました。その結果も提示し、厚労省としっかり協議していきます。
 
  −− いわゆる「1人ケアマネ」にとっては厳しい改定となりました。
 
そうですね。非常に高いスキルと情熱を持って取り組んでいる「1人ケアマネ」は、私の仲間にもたくさんいるんですよ。ですから複雑な思いはもちろんあります。ただ、社会保障制度の給付費で賄われる公的なサービスをたった1人で運営していくって、やはり色々とリスクがあることですよね。もしその人に何かあったら利用者さんはどうなるの、という話になりますから。優秀なケアマネを多く育成していくという観点でも、先輩からしっかりした指導を受けられる環境を増やしていく方がいいでしょう。もちろん、敢えて「1人ケアマネ」を選んで地域の事業者と提携するという形もあるとは思いますが。
 
  −− 国はある程度の規模をもってもらおうと誘導しているのでしょうか?
 
そうした政策意図も含まれているでしょう。経営の面からみても、事業所で扱えるケースを増やし特定事業所加算を取れば損益分岐点を超えますよね。これからはルールが改められます。経験が無かったり研修を受けていなかったりする人が、1人で開業・運営していくことは認められません。多くの関係者の声や社会保障制度のパラダイムシフトの中で、業界の環境は変わることになりました。これに適応できなければ生き残れないでしょう。常に変化を迫られ、仕事の精度を高めるために成長するよう求められるのは、何も我々だけではないですよね。協会では今後、現場のケアマネの支援にこれまで以上に力を入れていくつもりです。

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