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Report

2018.1.25
= 2018年度 介護報酬改定 =

プラス改定に強い不満の声 「現役世代の負担増への配慮を欠いている」

 


《 社保審・介護給付費分科会 17日 》

プラス0.54%。来年度の介護報酬の改定率だ。施設・事業所の新たな運営基準が決まった17日の審議会では、この判断を下した政府への批判も噴出した。現場の関係者は歓迎の声をあげたが、現役世代の立場を代表する委員は不満を募らせている。
 
「第2号被保険者の保険料を負担している我々としてはとても納得できない」
 
大企業のサラリーマンらが加入する健保組合でつくる健康保険組合連合会の本多伸行理事はそう訴えた。「国は薬価の引き下げなどで必要な財源を確保できたようだが、こっちは一方的に支払う額が増えることになる。サービスをほとんど使っていないにもかかわらず、現役世代の負担が過度になってきているのではないか。これでは可処分所得も増えていかない」と苦言を呈した。
 
厚生労働省のデータによると、利用者の自己負担も含めた介護の総費用は今年度でおよそ10.8兆円。来年度は初めて11兆円を上回り、2025年には20兆円を超えるとみられている。これに伴い、給付費の28%を支えなければならない現役世代の保険料も上昇していく。制度がスタートした2001年度の平均額は2080円だったが、昨年度までに2.6倍の5350円(概算)となった。この半分の2675円を企業が出す。100人いればひと月26万7500円、年間で321万円。500人いれば年1605万円だ。医療保険や年金の保険料もかなり高くなっており、経営者らが向ける目は以前にも増して厳しくなってきている。
 
健保連の本多理事は会合で、「介護報酬をさらに引き上げようという話は、制度の持続性を担保する観点からいかがなものか。ビジョンのない目先の帳尻合わせの政策は早くやめてもらいたい」とぶちまけた。中小企業のサラリーマンらが加入する協会けんぽの安藤伸樹理事長も、「今年度の処遇改善加算の拡充もあわせると、介護報酬の引き上げは2年連続。現役世代の負担が重くなっていくことへの配慮を欠いている」と問題を提起。「必要以上のプラス改定だという印象が拭えない。次の改定では今回できなかったことをしてもらいたい」と注文をつけた。
 
このほか、全国町村会の代表として委員を務めている東京都・奥多摩町の河村文夫町長は、「これから町民の保険料を引き上げなければいけない。一体どこまで負担増に耐えられるのか、小さな自治体はどこも非常に心配している」と不安を口にした。
 

「真摯に受け止めないと…」

 
「報酬の引き上げは非常にありがたい。決して無駄にしないようしっかりと対応していきたい」
 
全国老人福祉施設協議会の瀬戸雅嗣理事はそう述べた。全国老人保健施設協会の東憲太郎会長は、「現役世代の方にとっても、親が要介護状態となった時の安心が担保されるなどメリットがある」と説明。「我々も費用を負担している側の意見を真摯に受け止めないといけない。多くの国民の期待に応えられるサービスを提供できるように努力していく」と理解を求めた。
 
政府は23日の経済財政諮問会議で、財政の再建に向けた新たな計画を今年6月にもまとめる方針を確認。社会保障制度の見直しをはじめとする歳出の抑制が柱になる見通しで、介護費の効率化や地域差の縮減、介護予防・自立支援の徹底などを迫る声が早くも出ている。この新たな計画をめぐる議論を通じて、2021年度に控える次の制度改正の輪郭がみえてきそうだ。

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